コロナになって人間を辞めかけた女の話。
5日ぶりに自室から出て、シャワーを浴びた。
シャワー室から出て鏡を見ると、10年ほど刑務所にいたかのよう
生きるのに相当疲れたかのようなやつれた顔をした女。
それほどまでに私は、自分の顔がどんなものだったか忘れてしまっ
まぁ無理もない。高熱に襲われ半分気を失いかけていたのだから。
朝、9時過ぎに起きて、社内チャットで休みの連絡を入れる。
理由
やはりこの時期だからか「今の状態を教えて欲
送った文章をコピー&ペーストして、言葉尻を少し変え、淡々と送
するとみんな決まって、お大事にと返信が来る。
今わたしが生きていられるのは、母のおかげである。
父も急遽会社
食べたいものをオーダーすると自室まで持ってきてくれる。
接触はできないので、扉の前に置いて下へ降りる。
その音が聞こえ
家族の優しさに触れる度に「私は一人暮らしができない人間だ」と感じる。
父と母の元から自立はできても、一人で住むことができない女。それが私。
自分の身に起こってしまったことはもう変えられないから、未来の
そんなことを考えながら、今日も惰眠を貪っている。